2015年8月26日水曜日

自宅を売って、子供に生前贈与をする場合


自宅を売って、子供に生前贈与をしたい。どんな税金がかかるのか。


土地生前贈与




贈与者の年齢を引き下げ、孫も受贈者になります



以前に本紙でも紹介しましたように平成25年度税制改正では、相続税は増税となりましたが、贈与税は減税となりました。

今回は、贈与税減税のポイントについて見ていきます。

 まず、今回の改正では税率構造が見直しされ、贈与者の区分に応じて税率が変わり、その税率も細分化されました(下表1)。これにより平成27年1月1日以降の贈与から贈与税が若干安くなります。

 たとえば、500万円の贈与を受けた場合を例にしてみると、現行では(500万円~基礎控除110万円)×20%~25万円=53万円ですが、改正後は(500万円~110万円)×15%~10万円=48万5000円となります。

また、相続時精算課税制度について、受贈者の範囲に、20歳以上の孫(現行推定相続人のみ。子が既に亡くなっていて推定相続人になっている孫を含む)が加えられ、贈与者の年齢要件は60歳以上(現行65歳以上)に引き下げられます。

 相続時精算課税制度とは、贈与者から贈与を受けた財産について、2,500万円までは贈与時の贈与税は非課税(2,500万円を超える部分については20%の税率で贈与税が課税)とされ、その贈与者がなくなった場合には、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合算して、相続税として精算(本制度により納付した贈与税額については相続税額から控除)する制度です〈下表2〉。また、孫の場合は、原則として相続税の精算時(申告時)に20%加算の対象となリますので注意が必要です。


不動産の生前贈与


 生前贈与できる資産は現金だけではありません。

現金のほかに不動産や有価証券なども含まれます。これらの財産評価は贈与時点のものとなるので、後に評価額があがっても相続時には影響しません。今後価格が上昇すると思われるものについては有効な手段となります。


 デフレ時代においては、これらの資産の価値が上昇することは考えにくいことでしたが、自民党政権になってからは、アベノミクス効果もあり、不動産の資産価値も上昇の気配を見せています。


そこで、アパート・マンションをお持ちの方には、表面で説明した「相続時精算課税制度」を利用した生前贈与が、相続税対策として有効になります。

アパート・マンションを生前に贈与することで、そのまま所有していれば現金として蓄積されて相続財産としてみなされることになる「家賃収入」が、相続人に移転され、逆に相続時の納税資金として期待できるようになるのです。


また、マンション経営を法人化して行なっている場合は、株式の一部または全部を子や孫に所有させることによって、無税で収益不動産を子や孫に移せます。将来に渡って発生する収益も自動的に子や孫のものとなります。 


アパート・マンションを贈与する場合は、評価額が固定資産税評価額となるため時価より低い上、さらに借家権割合の分が評価減になり、おおむね時価の40%で贈与することができます。

現金で不動産と同額を贈与した場合と比べ、納税額を少なくすることができるため、現金を収益物件化して、生前贈与をするという手段も考えられます。


【注意点①】長期にわたる定額贈与には危険性があります


 暦年課税を適用する場合、1年ごとに110万円の基礎控除が認められているため、同じ金額を贈与するならば、なるべく長い期間にわたって贈与を行った方が税負担は少なくなります。

 2,000万円の贈与では、100万円ずつ20年にわたって贈与を行った場合は、それらの贈与はすべて110万円の基礎控除の範囲内となるため、贈与税はゼロになります。

ただし、途中で贈与者が死亡してしまった場合、将来贈与するはずであった財産について相続税の課税対象となることはもちろん、相続発生前3年以内の贈与についても相続財産に引き戻され相続税の課税対象となってしまいます。

また、基礎控除以下の100万円の生前贈与を毎年繰り返すと、20年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、税務署によっては1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(20年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとみなされて贈与税がかかってしまう場合があります。


【注意点②】よくあるのが、贈与した「つもり」


 贈与は、贈る側と受け取る側の合意があって初めて成立します。

たとえば、子どもや孫の口座に毎年内緒で基礎控除額以下の100万円を振り込んでいて、贈与と認められないケースはよくあります。


 子どもや孫がもらったという認識がなく、通帳も印鑑も親や祖父母が管理しており、通帳に使った形跡が見られないというような場合には贈与が成立せず、親の相続財産とみなされる場合があります。









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